[#19]【基礎身体操作】ボールコントロールを安定させる触り方
EN-TRAINトレーナーのぱらとです。
この記事ではTwitterでの発信を深掘りしていくことで物理的な本質からパフォーマンスアップを図るお手伝いをしていきます。
取り上げるツイートは隻腕プレイヤーHanselのハンドリング操作から見た安定したボールのコントロールの仕方を解説したコチラ。
ボールは片手でコントロールする方が安定する
隻腕でありながらNCAAのディビジョン1の大学からオファーを獲得し、多くのハイライトを作っているHansel。
バスケットボールではボールを手でコントロールする必要があるので隻腕でプレイするHanselは基本的に片手でしかボールをコントロールできず、身体的ハンディキャップを背負ってプレイしているように感じられます(厳密には上腕骨が残っているので2点保持をする場面もあります)。
しかし、実際のプレイを見てみると右手一本で見事にボールをコントロールしていて他の健常者のプレイヤーと比較しても遜色のない動きをしていることが良くわかります。
このように見える要因はボールを片手で止めることなく常に動かし続けていて、且つ、その動作が押す動作によるもので統一されているからです。
物体を安定させる、というと多くの方が静止した状態を想像すると思いますがスポーツ競技における物体の安定というのは実は動き続けることでも作られます。
物理的な現象として一定の速度で動くもの、そして一定の加速度(同じペースで加速していく)で動くものは力学的に安定した運動と定義され動きの予測もしやすくコントロールしやすいとされています。
ウォームアップでやるジョギングや2メン・3メンのような練習は一定の速度または一定の加速度で動く動作によって構築されているので身体を1つの物体として見たときに安定した動きをしている、というのは想像しやすいかと思います。
逆に緩急を付けたり予備動作を殺す動作を利用することでバスケの場合は0→1の動作の”不安定”を作ることができます。
これによって相手が騙されたり、フリーズしたりして有利な状況を作ってプレイすることができます。
動き続ける事が安定に繋がる
静止しているもの、動き続けているもの、いずれにも慣性の法則に従ってその運動を継続しようとする力が働くので静動を意図的かつ急激に変動させることは最高に不安定と言えます。
その動きをボールに対して当てはめてみると、ボールが止まった状態から急に動かすよりも一定の動きをしている状態からさらに動かす方がコントロールしやすいというのはこのメルマガを購読している多くの方が経験的に理解している事象だと思います。
健常者のプレイヤーの場合これを両手で左右それぞれに役割を持たせて行うので、左右の手のスキルレベルの差などで逆にボールコントロールが乱れる、ということが起きたりします。
例えば、右手ドリブルから左手ドリブルにクロスチェンジしたところ右手で押し出すボールの強さと左手で受け取れるボールの強さに差があるためにボールをファンブルしてしまう、といった具合です。
その点、引用した隻腕プレイヤーのHanselの場合は左右の手それぞれに役割を持たせて安定化を図るのではなく右手一本で右側から押したり左側から押したりを繰り返すことで同じ安定化を図ります。
もちろんボールを触るための動作が左右で同じではないですが、同じ手を使い続けるという点ではボールを押し出す動作・受け止める動作というのは一定の出力を保つことができます。
そのため、ボールを保持して一定の位置に留めるという操作は難しくても常にボールを動かして一定の”エリア”で自身のコントロール下におくことができているというわけです
ボールを押し続けることでコントロールするというのは簡単そうに見えて実は結構難しいことであり、それを普段から誰もが実践していることを理解しておくとプレイの自信につながるのではと思います。
ボールを押し続けられないとどうなるか?
では、ボールを押す力が失われたり弱まったりして乱れるとどうなるか?
押す力が弱まれば押す方向に動ことうとする働きが弱まり、万有引力、つまり重力によって下方向の力の割合が増え落下方向にボールは動こうとします。
重力という力は普段あまり意識する方は少ないですが、全ての人・モノにかかる共通の下方向の力であるので横方向にしろ上方向にしろ下方向以外の動きを阻害または湾曲させようと働きます。
一度下方向に動き出したボールを再び意図して軌道に戻すには当然力が必要ですし、何より下方向に抗う方向の力が必要、つまり上または斜め上方向の力を必要としてしまいボールコントロールという点で効率的ではありません。
そういった視点を持ちながらHanselのプレイを見てみるとレイアップに行く際の揺り籠動作やジェリー動作というのは非常に理にかなった動きと言えますし、健常者のプレイヤーにも同様のことが当てはまるので是非参考にしてもらいたい動きでもあります。
Hanselの場合はDFのブロックを避けるのに左手のオフハンドを活用することは難しいですが、健常者のプレイヤーの場合はそれが可能です。
右手一本でボールを確実にコントロールしつつ左手のオフハンドでDFをシャットアウトすることができればペイントエリアでのフィニッシュやドリブルペネトレイトを仕掛ける場面でDFにボールを奪われるということも減るはずです。
一度、自分のボールコントロールが動かしながら安定させるという点でどのレベルにあるか?というのは一度確かめてみるとパフォーマンスアップに効果的かもしれませんよ。
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