[#20]【バッシュ解説】グリップ力を決めるラバーの要因
EN-TRAINトレーナーのぱらとです。
この記事ではTwitterでの発信を深掘りしていくことで物理的な本質からパフォーマンスアップを図るお手伝いをしていきます。
取り上げるツイートはバッシュのグリップ力の原理について解説した動画を紹介しているコチラ。
グリップ力を決める3つのラバーの性質
バッシュ選びで抑えておきたいポイントとしてグリップ力の高さを挙げる方は多いと思いますが、どのようなアウトソールラバーがグリップ力が高いかどうかよく理解しないままバッシュを選んで失敗する方も多いと思います。
なんとなくラバーに触れたときに粘り気があって変形しやすいものがグリップ力が高いと判断することが多いように個人的には感じられますが、ラバーの持つ特性がどういうものであるかを理解することでバッシュ選びの際により良い判断ができると考えています。
バッシュに関わるアウトソールラバーの性質というのは主に3つの性質があります。
1つ目が硬度、2つ目が粘度、3つ目が粘着度です。
硬度とは外部からの荷重に対してどれだけ変形しにくいかを表す指標で硬度が高いほど変形しにくいということが言えます。
硬度を測定する方法は色々ありますがラバーの硬度を表す場合はデュロメータ硬度と呼ばれる針を刺して測定する硬度を用いるのが一般的です。
針の刺さり具合によって30度や40度といった具合に数値化されます。
エントレYouTubeチャンネルでバッシュの物性評価を行う際にも硬度は〇〇度程度あります、と活用しています。
これまで30足ほど新品バッシュのラバー硬度を測定した感じだと60度前後の硬度が一般的で柔らかいものだと50度程度、硬いものだと75度程度のラバーのモデルもありました。
ただし、これらの数値はバッシュとして構成されている状態で測定しているためラバー単体で測定すると実際の数値とはズレている可能性が高いです。
YouTube向けに測定しているものは複数箇所・複数回の測定を経て総合的に数値を導き出しているのでバッシュに構成された状態のラバー硬度はそれぐらいという点では概ね正しい数値が出せていると思っています。
それらを加味して私の評価など見ていただくとより分かりやすいかなと思います。
続いて粘度とは外部からの荷重によって変形した時に元の形にどれだけ戻りやすいかを表す指標で粘度高いほど変形してもすぐに元の形に戻ります。
粘度が低いと変形しても元の形に中々戻らないので連続して荷重をかけるとどんどん変形してしまうということを表しています。
粘度の低い物体としてよく挙げられるのがスライムです。
スライムを容器からだすと重力に従ってダラーと伸びていきますがこれは粘度が低いために重力という外力に対して元の形に戻る力が負けてしまいこのように変形していってしまうことを表しています。
粘度はレオメータと呼ばれる機器を使用して荷重に対する瞬間的な変形量などから測定することができますがバッシュとして構成されているラバーに対しての測定は難しいためYouTube向けの測定では簡易的な測定方法を用いて数値をしています。
最後の粘着度とはラバー表面にどれだけ他物体を吸着するかを表す指標で粘着度が高いほど他の物体を吸着します。
粘着度が高いほど接地面にラバーが食いつく力が増すのでグリップ力を高めるという点で有利ですがその分床表面にある汚れやホコリなどの異物を吸い付けやすくなり場合によっては吸着した汚れなどによってすぐにグリップ力が低下して拭き取りが必要になることがあるので注意が必要です。
この粘着度と粘度の要素は字面が似ていることもありラバーの性質として混同している方が多いですが上記説明の通り全く異なる性質を表しているので注意してほしいところです。
少なくともこのアカウントをフォローしている方には間違えてほしくない部分です。
それぞれの要素がグリップ力に与える影響
では、それぞれの要素がグリップ力にどのような影響を与えるのか?
アウトソールラバーの形状にもよりますが硬度は接地面積、粘度は制動力、粘着度が短期的な寿命(元々もつグリップ力をコート上で何往復キープできるか)の要素を見ることができます。
硬度が低いほど接地面積を確保しやすく、粘度が高いほど制動力は高く、粘着度が低いほど汚れを吸着せず同じレベルのグリップ力を保つことができます。
ラバーの質感は実際のサイズ感同様直接触らないと判断できない部分ではあります。
しかし、フィッティング確認と違うのは実物さえ見ることができればサイズに関係なく確認できる点なので気になるモデルが店舗に置いてある場合は積極的に触っておきたいポイントだと思います。
より詳しく解説したYouTube動画もアップしているので是非こちらも参照してみてください。
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