[#22]【基礎身体操作】減速の兆候を見せずにストップ動作をする

EN-TRAINトレーナーのぱらとです。

この記事ではTwitterでの発信を深掘りしていくことで物理的な本質からパフォーマンスアップを図るお手伝いをしていきます。

取り上げるツイートはTerry Rozierがストップ動作のみでDFを振り切ったムーブを解説したコチラ。

ハンドリング=ボールの扱い+身体の扱い

Rozierの動きを俯瞰して見てみるとスウィングギャザーからステップインしてくると思わせておいて急ストップの後、ターンアラウンドでスペースを作って見事にミドルショットを沈めています。

ポジション(スピード)のミスマッチがあるとはいえここまで見事に振り切ることができたのはRozierの高いハンドリング能力のおかげと言えます。

ここで言うハンドリングというのはボールハンドリングの意味だけではなくボディハンドリング、つまり身体操作スキルのことも指しています。

2つのハンドリングが掛け合わさることでレベルの高いスキルムーブを実践することができます。

今回取り上げたRozierの動きに限らず物体が急激に方向転換する場合、一瞬で方向を切り替えるということはなく必ず減速の過程を挟んでから停止、そして切り替えた方向に再度加速していく動きになります。

人の身体の場合は減速動作で身体(特に上体)の上下動が発生したりステップスライドが細かく変化したりして速度以外の面でも減速動作を行っている、ストップ動作をしようとしていることは感知できることが多いです。

DFも経験的にそのことを分かっているため、急な動きの変化にもある程度付いていくことができるというわけです。

ところが、見かけ上減速あるいは停止の兆候を見せずに動作移行をするとどうなるでしょうか?

それが今回Rozierが見せてくれたストップ動作であり、DFについていたMoritz Wagnerが振り切られてしまった理由です。

止まる予兆を見せずに止まって切り返すには

Wagnerの視点ではRozierはストップ動作を仕掛けているようには見えず、ステップインからフローターか何かでシュートを狙ってくると感じられたはずです。

そのように感じてしまった理由としては身体が停止するギリギリまで上体が起きた姿勢を保っていて、尚且、上体だけ見た時の水平方向の移動速度をほとんど変化させずに動いていたことが大きいです。

通常、このような場面で停止動作を仕掛けていくと停止する意識が先行して上体がのけぞったり、沈み込んだりしてしまってDFに動きを感知されることが多いです。

その点、Rozierは姿勢を保ち続けたことで次の動作を感知されづらくできています。

ツイートで引用したムーブでは仕掛け始めから見えているRozierの背番号3がほぼ同じ大きさ(角度が変わって小さく見えたりしていない)で見えているのが良い証拠です。

肝心のストップ動作については切り返し脚の左足にストップのための全荷重をまかせるのではなくステップインの1歩目の右足でもストップのための荷重することで無理なくストップ動作に繋げることができています。

右足の荷重は完全にストップに振り切るのではなく動作はステップイン動作に移行しつつ余分なエネルギーを殺すイメージで動くことで左足でストップする際、右足側に重心を残すことができ急ストップ動作を実践することができています。

そのタイミングでDFのWagnerはクロスステップでコース取りをしているため急ストップしたRozierには対応できるはずもなく振り切られてしまう結果となりました。

DFからの視点だと足元の動きまでは中々見えないのでこうした上体の動きと下半身の動きにギャップを作る事で相手に動作移行を感知されず振り切りやすいという事が言えます。

武術の世界では袴を履くことで足さばきを見えづらくして動作を感知させにくくするということが言われていますがスポーツでも足元の動作を隠すことで相手を欺きやすくなるというのは言えると思います。

また、Rozierの動きの場合は完全に停止してから切り返してターンしてるので無理やりターンするのと違って身体のブレも小さく安定したフォームでシュートを放る事ができています。

急激な方向転換やロールターンは相手を振り切りやすい一方で自身の動きもブレやすいのでキチンと身体をコントロールして動くことが実はより確実な得点に繋がる場合も多いです。

方向転換をする際は右から左、前から後ろに100→100の力で切り返すことはできず、かならず減速と停止の行程を挟むことを理解したうえで動くことでより効率的なムーブを行いやすくなると言えると思います。

特に練習の場面では意識してみると良いでしょう。

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