[#23]【基礎身体操作】腕力に頼らず強く速い下手投げパスを出すには
EN-TRAINトレーナーのぱらとです。
この記事ではTwitterでの発信を深掘りしていくことで物理的な本質からパフォーマンスアップを図るお手伝いをしていきます。
取り上げるツイートはCampassoの下手投げパスを解説したコチラ。
ボールの動きを止めずにエネルギーを変換して飛ばす
強く速いパスを飛ばそうと思ったときにボールが大きいバスケではボールを押し出す機構で飛ばしたほうが効率的である場合が多いです。
そのため、所謂プッシュパスと呼ばれる動作によってパスを飛ばすことが競技レベルを上げるためには必須のスキルと言われています。
押し出すパスは片手でボールをハンドリングすることが基本となりますが、シチュエーションやタイミングによって通常の押し出し操作では間に合わないこともあります。
通常の押し出し動作は押し出すという動きの関係上直線的な力のかけ方になります。
力のかけ方が直線的だから身体の動きも直線的になる、というわけではありませんが力学的エネルギーの視点で見ると一度ボールの動きを止める(運動エネルギーを一旦ゼロに近づける)過程を踏むことになります。
一度止まったり減速したりしたものを動かすには大きな筋出力を要求されますが身体の小さなプレイヤーが筋力だけでこれをカバーするのは非常に大変です。
Campassoは181cmの身長でウィングスパンが193cmあり身長に対するフレームは優秀です。
しかし、絶対的なフレームサイズという点でNBAというエリートフレームを持つ選手だらけの世界では小さい選手です。
そのため、出力面で不利を強いられることは間違いありません。
身体が小さい選手ほど物理的な効率を求めるべき
身体の小さな選手がこうした不利を補うにはボールが持つ力学的エネルギーを効率的に利用する動きを活用する必要があります。
具体的にはボールが持つ力学的エネルギーを減衰させずに動作を移行させて目的の方向に飛ばしたりシュートに繋げたりするといった工夫が必要になります。
今回取り上げたパスではボールが手から離れたタイミングはセンターラインを越えた位置ですが、パスを飛ばすためのエネルギーをどの時点から獲得し始めているかというとセンターラインを越える前についた左手のドリブルがパスを飛ばすためのエネルギーのベースとなります。
ドリブルのエネルギーがパスのエネルギーに利用できるのか?と不思議に感じるかもしれませんが、直線的に動く物体が持つエネルギーというのは上手く回旋系の動きに誘導することができるとエネルギーを減衰させずに運動し続けることができます。
そのため、直線的動き→回旋系の動き→直線的動きと動きを経由することでエネルギーを殺さずに直線的動きの方向を変換させることができます。
Campassoの動きはまさにそれを実践した形となっていて、左手ドリブル(直線的押し出し)→跳ね返ったボールを右手で受けそのまま後方にボールを回す(回旋系の動き)→パスを出したい方向まで回ってきたボールを右手で押し出す(直線的押し出し)という流れで左手でついたドリブルのエネルギーを上手く活用しています。
更に最後に右手で押し出すエネルギーも乗せることで流動的な動きで素早く強いパスを出すことができました。
このような現象は乗り物で言えばジェットコースターがレールを1回転する際にも起きている現象であり、他のスポーツで言えばソフトボールのピッチャーの投球動作もこの現象を利用して速い球を投げることがでています。
ソフトボールの投球動作なんかは今回のパスの動きにかなり近い原理でのボールを飛ばす動きなので上手く応用することでCampassoより更に速いパスを出すことも可能です(受け手が大変ですが)。
もちろんこのような動作を体幹周りの捻れの力と背中~腕の筋力をフル動員して無理やり出すことも可能ですが、何度のそのような動きをすれば身体にも大きな負荷を当たる事になり長いシーズンと闘うという点でプロの動きと言えません。
身体が小さいことが有利になることが少ないバスケではありますが、高い身体操作スキルと工夫とアイデアがあればNBAのようなモンスター集団の中でも活躍できるという一例を見ることができる動きの1つだと思います。
当然、この中で活躍するCampassoもモンスタークラスの選手であることは間違いありません。
ただし、サイズ面で近い方も多いので動きの参考にしやすいと思いますので是非参考にしてみてください。
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