[#29]【基礎身体操作】回旋運動の速度と角度(力の大きさ)の関係

EN-TRAINトレーナーのぱらとです。

この記事ではTwitterでの発信を深掘りしていくことで物理的な本質からパフォーマンスアップを図るお手伝いをしていきます。

取り上げるツイートアルペンスキーの回旋動作から見たバスケのドライブの時の接地角との関連を解説したコチラ。

垂直の力を水平に変換する

雪上を滑りながら左右に大きく動くアルペンスキーでは速く斜面を下りながら鋭く切り返し動作を行う必要があります。

雪上を下る速度は私達が走って斜面を下るのとは比べ物にならない速さなので左右方向に動こうとすると大きな遠心力が発生します。

大きな遠心力に負けないように力をかけるには地面に対して水平方向(今回の場合左右方向)の力をより大きくするように身体を操作することが求められます。

しかし、人の身体で大きな力を発揮できる動きは地面を足で押す操作です。

これは普通に地面に立った状態だと水平方向ではなく垂直方向の力となります。

デッドリフトやスクワットで挙上できる重量が人間が持ち上げる事のできる重量の最大値であることが良い例です。

立った状態で左右に押す力ではスクワットやデッドリフトで挙げる重量を動かすことは困難なのは想像に難くないと思います。

ではどうやって垂直方向の力である足で押す力を左右方向の力に変換するのか?

この答えがスキー板で行うカービングという操作に現れています。

カービングというのは板を大きく左右に倒しながら滑っていく滑走方法です。

カービングではエッジの端面のみに荷重をかけていきながら滑るのでスキー板は大きく左右方向に倒れて擬似的に地面が傾いているのと同じ状態になります。

スキー板は硬く、尚且つエッジのみで雪面に荷重しているので板の裏が雪面に接していなくても荷重の力はしっかりと雪面に伝わっています。

つまり、地面の角度がスキー板の傾きと同期していくので板を立てれば立てるほど(擬似的に)地面は傾き水平方向に大きな力を発生させやすいということになります。

もちろん、単純に身体を傾けると倒れてしまいますが、ものすごい速度で斜面を下っている最中の動きなので冒頭でも説明した通り大きな遠心力が身体にはかかっています。

そのため、大きく板を起こし身体を倒したとしても倒れることなく滑っていくことができます。

接地面は傾いているが力は真下にかけていくための操作

現実のスキー滑走では身体を完全に傾けるというよりは下半身を股関節から操作することで大きく板を立てるための操作を行い、上体はバランスを取るためある程度地面に対しては起きた状態をキープしながら滑っていきます。

今回引用した滑走動画を見てもらうと分かりますが上半身と下半身で傾き方の違いが見えます。

これがスノーボードだと板に横乗りするので身体に対しては前後の方向の動きとなるのでより分かりやすいかもしれません。

陸上のクラウチングスタートの瞬間、身体が水平方向にドンッと飛び出す角度で雪面にボードのエッジを立てて滑るのがスノーボードのカービングです。

スノーボードだとスキーよりも上半身と下半身の角度が連動するので身体を大きく傾けやすく進行方向に対しては左右方向の力を大きくかけることができるというわけです。

遠心力に抗うために地面を擬似的に傾けて足で荷重していきますが、その傾きと均衡を取ってくれるのが対抗する力となる遠心力である、というのはとても物理的であると私は感じています。

この遠心力と地面への荷重の関係がバスケでも応用されます。

引用元ツイートでも書いた通りドライブを仕掛けるような操作で同様の力が必要になってきます。

バスケのドライブ動作でも単純な真っすぐの動きよりはDFを躱しながらグルッと回っていくような動作が多くあると思います。

DFを躱すためにカーブしながら動いていくときに外側に引っ張られる(流れる)ように力がかかるのでそれを接地している足を使って耐えることで素早く回旋していきDFを抜き去ることができるというわけですね。

ここでも速度と遠心力の関係は同様なのでゆっくり回っていくよりも速く回っていく方が遠心力は大きくなるのでより鋭く地面に接地して荷重していく必要があります。

バスケではスキーのカービングのようにエッジのみで荷重することは難しいですが、バッシュのグリップ力を頼りにしっかりと接地することでカービングに近い効果で遠心力に対抗する力を発揮することができます。

こうした速度と力の関係を理解しながらスキルトレーニングをすることで仮に上手くいかなかったときに身体の操作が良くないのか、速度に対する力の大きさが足りないのか、など不足点を判断する材料を増やしてより効率的に練習することができると思います。

是非、参考にして練習してみてください。

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