[#39]【基礎身体操作】アクセル動作だけでへジテーションをかける原理
EN-TRAINトレーナーのぱらとです。
この記事ではTwitterでの発信を深掘りしていくことで物理的な本質からパフォーマンスアップを図るお手伝いをしていきます。
取り上げるツイートはLebron Jamesのへジテーションドライブを解説したコチラ。
バスケでは緩急の大きさが強みになる
バスケットボールという競技で求められる動きは前後左右だけでなく上下も含まれ多岐に渡ります。
それに加えて動く速度も加速したり減速したり停止したりと忙しない競技でもあります。
今回取り上げたLebronJamesのへジテーションドライブもバスケの忙しない動きを象徴するようなムーブの1つだと思います。
へジテーション(Hesitation)とは”ためらう””躊躇する”といった意味の言葉でバスケの動きに表すと一度やろうとしたことをやめて(ように見せかけて)次の動きに繋げるというムーブ全般を指します。
この動きを取り入れる目的はボールマンまたはパスを繋ぐ先のDFを振り切ってフリーの状態を作りだしたり、味方の動きのタイミングを合わせたりするために利用されることが多いと思います。
へジテーションの動きが利用される際は加速している動きから急激な減速または停止を伴った後に再度加速するように動くため動作緩急が非常に大きくなるように動くことが大事と指導されると思います。
加速・減速(停止)の外観上の動きを連続して、しかも落差を大きくして行うので多くのプレイヤーの場合アクセル→ブレーキ(→ストップ)→リアクセルと動作順を追って動きます。
しかし、最終的にアクセルをかけて進んでいくのに大きなブレーキ動作を挟むことは労力が大きくエネルギーを多量に消費します。
正しく身体が動かせていればアクセルとブレーキでは使う筋肉が違うので疲労が局所に集中するということはありませんが、トータルで消費するエネルギー(熱量)が大きくなることは避けられません。
筋肉が動くためのエネルギー源であるATPは激しい運動中は特に消耗されやすいので消耗を抑えつつ高いパフォーマンスを発揮できた方が試合終盤まで動き続けやすいというのは間違いありません。
そのため、動きの質としては対極になるような動作を組み合わせたへジテーションでもできるだけ消費を抑えて動けるようにしておきたいところです。
効率的な緩急の付け方は加速力の調整
では、へジテーション動作においてはどのようにして消耗を抑えたら良いか?
それはブレーキ動作を極力排除したへジテーション動作を完成させるという動きを取り入れることで実現可能です。
今回引用したLebronJamesのドライブはまさにそのような動きを体現した動きとなっていて、具体的にはアクセル動作とアクセルオフ(加速しない状態)を組み合わせることで加速と減速を両立させているという動きになります。
アクセルオフ、というのはブレーキ動作とは違い加速することを(一時的に)やめた状態を表します。
ドライブしている状態から減速をかけると前足でヒールストライクなどをして重心が前に進むことに対して抵抗する力をかけることで減速します。
一方でアクセルオフの場合はドライブするのに加速するための後ろ足の地面を押す力を弱めることで重心が前に進むための力を小さくすることで減速します。
実は私たちの身体の動きというのは想像している以上に慣性が働いておらず加速するための動きをやめるだけでかなりの勢いで減速します。
逆に乗り物の運転、例えば自転車や自動車の運転ではタイヤの回転による慣性が大きく働くのでアクセルをやめてもしばらく走り続けることができます。
人の身体の場合はアクセルをする動作によって受ける力で動き続けることができるので受ける力がなくなれば自然と減速・停止するというわけです。
試しに歩いている最中に地面を押す力を弱めてみると分かりやすいです、止まるつもりはなくても自然と足が止まるはずです。
この動きは単純な脱力だと動作の連動が切れてしまうのであくまで身体の状態としてはアクセルをし続ける状態を維持しつつアクセルしない選択をした動きをするというのが肝になります。
バスケの場面に話を戻すと見かけ上はアクセルし続けているように見えるのでDFが減速に気づけなかったりアクセルオフから方向を切り替えるような動きに転換した時の反応に遅れたりということが起きます。
つまりへジテーションすると動作としてはアクセル(加速)するかしないかの2択なので力をかける方向が一定で重心の移動もスムーズで無駄な労力も消費しにくいです。
実際の試合ではブレーキをかけるへジテーション動作も必要とされることはありますが、アクセルのオンオフを駆使することでより効率的な動きに繋げることができるので選択肢を広げるためにも是非練習してみましょう。
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