[#40]【基礎身体操作】人が自力で加速できない方向とは

EN-TRAINトレーナーのぱらとです。

この記事ではTwitterでの発信を深掘りしていくことで物理的な本質からパフォーマンスアップを図るお手伝いをしていきます。

取り上げるツイートはNunnのドライブ動作に見る身体の重心の加速について解説したコチラ。

人間には自力で加速できない方向がある

バスケボールでは前後左右上下と様々な方向に加速することを求められます。

しかし、人の身体は今回引用したツイートのように地面方向には自力で加速することができません。

地面方向に身体が加速していくのは重力に従って落下する力によって加速しているに過ぎず、身体が発揮する筋力やその他動作などによって加速することはできない構造になっています。

これは実際に身体を動かしている私達自身の感覚だと中々理解しにくいことかもしれません。

実は地面方向に加速できないと言える理由は簡単に説明ができます。

身体を意図した方向に加速するには加速する方向とは逆に力を発揮する、つまり、押し出すような力を発揮する必要があります。

地面方向に加速するには水平方向(0°)より高い角度に向かって力を発揮して身体を押し出すことになりますがバスケットボールのような地面と身体とボールのみでプレイする競技の場合、水平方向より高い角度に力を発揮した時にその力を受けるモノが存在しません。

大気中に手を突き出す凄まじい速度によって衝撃を発生させることができるレベルの人間であれば可能かもしれませんが、その場合発生した衝撃によって周囲の人間が吹き飛ぶというSF映画みたいな事象が発生することになります。

現実的にそのようなことができる人はいませんので事実上地面方向に加速することができない、と言えるわけです。

そうなるとゼロポジションから地面方向に加速する最速の行動は重心の自然落下ということになります。

自然落下が下方向には最速の加速動作となる

自然落下というと簡単そうに聞こえますが単に脱力して重心を落下させると落下した重心を受け止める動作でブレーキがかかってしまい次の動作にスムーズに移行できません。

地面方向に加速したエネルギーを次の前後左右、または上方向の動きに繋げていくには必要な関節の固定や身体の剛体化/軟体化が必要で複雑な身体操作を求められます。

ある程度の操作は自然と身体が調整してくれますがよりアグレッシブな動きに還元するには部位ごと骨ごと筋肉ごとに意識を配分していく必要があり滑らかに実践するには膨大な反復練習を必要とします。

驚異的なパフォーマンスを発揮するトッププロ選手の動きが流麗に見えるのはそうした物理的な効率とそれを再現する精度の高さが相まって外観上の美しさに繋がるからと言えます。

そうした点を踏まえて今回引用したツイートの動画を改めて見てみると身体を沈み込ませる場面において落下動作の影響が大きい頭と動体重心が不必要に上方向に動いていないことが見て取れると思います。

キャンセル動作やフェイク動作をかける際、キャンセルする方向に一度重心を動かしてしまうと本来狙っている動きに対してはカウンタームーブになってしまって最速の動作を起こすことが難しくなります。

特に自力で加速できない地面方向ではこのラグは致命的です。これを避けて素早く地面方向の加速に移行するためにも特に頭の上下動については気を使って練習していきたいところです。

もちろん動作の流れによってはあえて上に揺らすといったことも必要になりますが、最速最短で動くには、という観点で見た時の内容と理解していただければと思います。

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