[#44]【ジャンプ動作】最高到達点までが速いジャンプとは?
EN-TRAINトレーナーのぱらとです。
この記事ではTwitterでの発信を深掘りしていくことで物理的な本質からパフォーマンスアップを図るお手伝いをしていきます。
取り上げるツイートはダンクパフォーマーJ・Clarkのジャンプ速度(最高到達点までの速さ)が速く見えることを解説したコチラ。
速いジャンプと長いジャンプ
バスケをしていると一度は聞いたことがある「滞空時間が長いジャンプ」と「最高到達点までが速いジャンプ」。
人によってジャンプしたときの感じが異なる要因について物理的な目線で深堀していきます。
まず初めに滞空時間が長いジャンプについてですが、力学的には同じ高さのジャンプをする人であれば滞空時間は同じになります。
これは水平方向の移動量によらず垂直方向の運動のみで考えるので筋力や質量に依存せず一定です。
にも関わらず同じような高さしか跳んでないのに滞空時間が長いジャンプをする選手がいます。
これは何故かというと見かけ上のジャンプ高さと身体の重心が跳ぶために得られるエネルギー量に差がでるからです。
ジャンプの仕方、力の連動のさせ方によって空中で身体の重心が色々な方向に変動します。
身体の重心が最大限高くなるのと最大限低くなるのとでは身体が空中にある位置(高さ)は同じでも重心の動き(ジャンプの頂点局面の弧の長さ)に差がでるので滞空時間にも差が出てきます。
厳密に身体の重心が移動するわけではありませんが身体の構造は複雑で力の発揮・脱力の加減によって各部位の質量が身体の重心に対して与える運動エネルギー的な影響は変化していきます。
そうすると力学的運動上のみかけの重心位置は上下左右に変化させることが可能になります。
極端な話でいうと同じ離地速度でジャンプしても身体をガチガチに硬直させてジャンプするのと様々な関節を自由にできるような脱力した状態でジャンプするのとでは本来なら同じ高さまで跳べるはずの条件で離地しているのにも関わらずジャンプ高さには違いがでます。
重心が長く・速く動くための身体の状態
ガチガチとゆるゆるではどちらの方が高く跳べるかというとゆるゆるの方が高く跳べます。
空中姿勢や空中での脱力具合は空中での身体操作にも影響がありますが適度に脱力された状態の方が重心が最大限引き上げられやすく滞空時間を長くすることが可能です。
マイケル・ジョーダンに代表されるような空中での姿勢制御の自由度が高い人たちは力学的運動上の身体の重心を最大限引き上げつつジャンプすることができるので高く滞空時間も長いジャンプとなるわけです。
空中での重心を最大限引き上げられる身体操作を身に着けることでSLUM DUNKの桜木花道のようにコンテストシチュエーションで「あれ・・・まだ(空中に)いる」という河田兄が受けたようなプレッシャーを与えることができたりするわけですね。
もちろん、ジャンプするための十分な離地速度を確保したうえでの空中操作なので適切な部位に適切な力をかけたうえでの身体操作ということを忘れないようにしてください。
続いて最高到達点までの速度が速いジャンプについてですが、エントレの情報配信を見続けて来た方ならご存じの通りジャンプの高さは離地速度で決まります。
つまり、離地速度が速いほど跳びあがる速度も速いというわけなので最高到達点までの速度が速い選手というのはそれだけ高く跳ぶエネルギーを持ってジャンプしているということになります。
そのため、同じ最高到達点なのに最高到達点までの速度が速い、ということは力学的には起きえません。
しかし、これも滞空時間の話と同様、同じぐらいの高さなのに最高到達点までが速いジャンプをする選手がいます。
これは何が原因かというと最高到達点は同じでもジャンプの高さは違う、ということがあります。
例えば同じ身長・同じ最高到達点でもリーチの違いによってジャンプする高さには差があるということは良くある話です。
このような場合、ジャンプ高さが低い方が最高到達点までは物理的に早く到達するので素早いジャンプに見えるというわけです。
これがNBA選手クラスの体格にスケールアップするととても異常な世界になります。
180㎝の選手が110㎝を跳んで350㎝の高さまでジャンプで届くとしてそれは素晴らしい跳躍力であって高さの面でブロックにかなり有利なのは間違いありません。
NBAクラスになると210㎝の身長で80㎝跳んで同じ350㎝の高さに手が届いてしまうような選手もいるのでより小さなジャンプでブロックできてしまいます。
しかもジャンプが小さいのですぐに着地してもう一度ブロックに跳ぶといったことも容易です。
また、離地前の伸び上がりによる高さを出す速度はジャンプのそれよりも更に早いのでより最高到達点までの速さに差がでるというわけです。
他にもいくつか要因はありますが最高到達点までのジャンプが速いというのは高く跳ぶだけのエネルギーを持って離地している点とそもそもジャンプ高さが低くても高い位置に到達できてしまうという2点の要因が大きな影響を与えてそのように見えています。
高さではなく長さの部分のお話しなのでトレーニング等では賄いきれない部分ではありますが、これを理解しておくだけでも大きな選手や高く跳ぶ選手にチャレンジする際にブロックされにくいフィニッシュを選択できるようになる可能性が高まるかと思います。それを念頭に練習を頑張ってみましょう。
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