[#53]【基礎身体操作】筋肉によって発生する色々な力
EN-TRAINトレーナーのぱらとです。
この記事ではTwitterでの発信を深掘りしていくことで物理的な本質からパフォーマンスアップを図るお手伝いをしていきます。
取り上げるツイートは筋肉の収縮に伴って発生している物理的な力について解説したコチラ。
動作分析の科学的な見え方
今回の内容はいつものスポーツ動作に関する内容を直接取り上げたものではなく、動作分析を行う際の根幹となる考え方の部分のお話です。
いつも他の動作解析系の方達が発信する内容に比べてとっつきにくい内容ばかりのエントレの情報発信。
今回は更にとっつきにくい内容と言えるかもしれませんがどうぞお付き合いください。
一般的な動作分析ではバイオメカニクスに基づいた分析をされることがほとんどです(そういう学問ですし)。
バイオメカニクスを基にした動作分析を行う際は通常、動作の対象となる筋肉がどのように動いて骨格が動かすかを見ていくので動作の結果を筋肉がどう動いて身体の各部に作用するか(力を及ぼすか)によって導いていきます。
そのため、力の発揮やエネルギーの移り変わりを見ていく際の主観は筋肉となります。
筋肉からみてどこにどういう力が発揮されるかを求めていくことで目的の動作全体における筋肉の影響力を判断していきます。
筋肉は単体で見ると収縮することしかできないので目的の動作時にどういう風に収縮していくかをモニタリングしたりトレーニングによって出力を変化させたりして目的の動作の結果の変化量を測定しながらデータを蓄積していきます。
そうやって集められたデータから統計的な分析を通して様々な研究結果が発表されます。
結論の導き方としては過程(推定原因)から結果を見ていく形になります。
スポーツ科学はそのような研究データの蓄積によって特定のトレーニングの重要性や特定の筋肉を狙ったトレーニングの重要性を論じていく学問であると言えます。
ただ、ここで留意しておきたいのはスポーツ科学の視点では観測の主観が筋肉に寄っているため筋肉から力を受ける物体、つまり腱や骨格側の視点での観測が不足しているということです。
筋肉は収縮によって力を発揮しますが実際に身体を動かすのは筋肉が収縮する力によって起きる骨が発生させる応力によります。
つまり、骨側の視点での観測が本来的には必要になってきますしその力関係も明らかにしていかないと真の動作分析とは言えません。
物理学(力学)の視点では力の作用によって動くもの全体を包括的に取り込んで1つのシステム(系)として見る事で動作の結果からどのような力がどの部分に作用しあっているかを見てその過程を導いていきます。
つまり結論の導き方としては結果(事実)から過程(確定原因)を見ていく形になります。
求める結論を仮定して必要な過程は何か?を見ていくのでスポーツ科学の基本的な研究デザインとは視点の方向が大きく異なります。
誤解のないように言っておきたいのは決してこのような物理的な視点が不足しているからスポーツ科学の手法が悪いというわけではなく、様々な要因を画一的に観測して実験データに取り込むことが難しいスポーツ科学の大変さを示していると言えます。
スポーツ科学の業界では統計的にフィルタリングした実験体に対して測定したデータを掛け合わせることで行った実験の効果があるかないかを見ていくわけですが、人間のような生体は実験では測定しきれないような様々な要因によってパフォーマンスが簡単に変化してしまいます。
そのため、研究結果の考察では行った実験の効果が"間違いなくある"だったり"絶対に効果がある"のようなまとめられ方はせず、そのような結果が"示唆された"という結びで〆られることが多いです。
結果と過程をどう見るかで考え方も研究の仕方も変わる
ここでようやく引用したツイートの内容に触れますが、この筋肉がこういう風に収縮することによって発生する力からこういう動作になるという結果を見ていくのがスポーツ科学。
動作の結果から、この部位にはこういう力がかかっているからこの筋肉がこういう風に収縮していっていると過程を見ていくのが物理学ということになります。
どちらが正しいではなく広い視野を持って分析できるとより深く面白い結果が得られるのかなと考えながら普段動作分析をしております。
普段以上に取り留めのない内容ですがこんな考えで情報発信しているんだよ、というのをお伝えしたかったので今回の内容を書かせていただきました。
今回の解説を加味しながら引き続きエントレの情報発信を楽しんでいただければと思います。
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