[#11]【基礎身体操作】高いパフォーマンスを発揮する関節固定能力

EN-TRAINトレーナーのぱらとです。

この記事ではTwitterでの発信を深掘りしていくことで物理的な本質からパフォーマンスアップを図るお手伝いをしていきます。

取り上げるツイートはエネルギー効率の良い動きをするのに関節は固定出来た方がよいことを解説したコチラ。

関節は硬い方が良いのではなく固められることが大事

物体に力が加わった時、その力は力が加わった面から末端(基本的に対面)へ伝えられます。

力が物体内を伝わる過程で物体がどのような状態かによって伝えられる力の大きさが変わってくるんですが、これは人の身体でも同じことが言えます。

今回深掘りするのはそんな身体の中の力の伝わり方の違いが動きの質に与える影響についてです。

深掘りの題材としてピックアップしたRussell Westbrookの動きは素人目に見てもしなやかというよりはどこか機械的でガッチリした動きに見えると思います。

この動き方が良いか悪いかは置いておいて、このような動きに見える一因として本来に柔軟に動いている関節が固定されてほとんど稼働しないでプレイしているということが言えます。

具体的には加速局面でも減速局面でも正面から見える上体の面積が大きいことがあげられます。

上体の面積は肩関節2点と股関節2点を結んでできる四角形で表されていてWestbrookの動きではこの四角形が常に正面から大きく見える傾向にあります。

上体の四角形が大きく見えるということは身体が回旋したり上体が寝たりといった動きはほとんどせず正立に近い状態で動いているということですね。

こうした動きは関節稼働が少なく固い印象の動きになりがちですが、接触に強くWestbrookのような猪突猛進なプレイスタイルにはよく合っている動き方と言えます。

関節稼働量が少ないということは多くの関節は筋力や腱の張力によって固められながら動いているということで、力を抜いた状態が液体に近い身体の状態とすると、関節をガチガチに固めた状態は固体に近いということになります。

身体の状態が固体に近づくと身体のある面に力を加えると体内で力が減衰することなく伝わりやすくなるため力によって動き出す速さが向上します。

なぜ固めると力が伝わりやすくなるのか?

物理的には物体内を力が減衰することなく瞬時に伝わるため力をかけた対面に直接力が移動するというように表現されます。

極端な例をバスケの動きで表すと、シュート動作で床を押したときに身体が完全に固体だと直接足裏の対面にあたる手のひらに力が伝わるという感じです。

ピックアップしたツイートの動きで言えば走る時・跳ぶ時に下肢関節を必要な部分だけ固定することで身体の重心を足裏でドンッと直接押し出すような動きになりギュンギュン加速してるように見えたり、ビュンと瞬間的に跳ぶように見えるわけです。

これが逆に力を抜いて身体の状態が液体に近づくと身体の中で力は減衰したり遅延したりします。通常の物体だと減衰した力を戻すことはできないので対面に伝わる力も弱いままですが、人の身体の場合は筋力や骨の稼働によって力を減衰させなかったり、むしろ増したりすることが可能です。

そのため、動きの質としてはしなやかで華麗な感じに見えやすいというわけですね。

人の身体は複雑な機構をしているので身体全体が固体・液体どちらかの状態に近い、というよりは部分的に固体よりだったり液体よりだったりすることで様々な動きができるようになります。

少なくとも直線的な速さや物理的な突破力を求められる場面では瞬間的に固体よりの身体になることで力を無駄に使わず最大限の仕事をしやすいと言えるでしょう。

実際の試合では固体より液体よりどちらの状態が好ましいかはプレイスタイルやチームでの役割によって異なりますがどちらの状態も体得できるとオールマイティかつユーティリティなプレイヤーになれるのではと思います。

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