[#12]【接触動作】接触で押し込むには"押し込むな"
EN-TRAINトレーナーのぱらとです。
この記事ではTwitterでの発信を深掘りしていくことで物理的な本質からパフォーマンスアップを図るお手伝いをしていきます。
取り上げるツイートはポストアップなどの場面でより楽に押し込んでいくためのポイントを解説したコチラ。
フィジカル無双するには圧倒的な身体の強さが必要
バスケというスポーツではフィジカル強者が相手を楽々押し込んだり吹き飛ばしたりという場面を度々見かけると思います。
そうしたプレイを実践できるのは一部の圧倒的な身体の強さを持つプレイヤーのみで、ルールの特性上身体の強さとスキルを掛け合わせないと接触で有利に動くというのは難しいです。
特に今回ピックアップしたバックダウンの場面では直接ショットメイクにも繋がる場面なので自分の身体をより有意にコントロールできることが望ましいのは明らかです。
頑張ってDFを押し込んだはいいものの自分の重心もコントロールできない状態になり、次の動きに繋がらなければショットメイクできても落としてしまう確率が高まってしまいますよね。
身体の安定を保ちつつ相手を確実に押し込んでいくにはどうすれば良いか?
それは接触時に押し込まず受け止めることで実践可能です。
押し込むには押し込む必要はない
相手とまさに接触するタイミングでは相手の方向に身体を動かさず相手が接触してくるのを受け止めるように接触することで相手は自然と押し込まれてるような動作になります。
こうなる原理としては作用反作用の法則が大きく関係しています。
選手の1on1で接触する場面とAとB、2つの物体として置き換えた時、2つの物体が接触するとAがBを押す力はBに伝わりますがBがAを押す力も同時にAに伝わることになります。
この時、AがBを押す力が圧倒的に大きければBから押される力を無視してAは常にBの方向に進むことができます。
しかし、ある程度力が拮抗しているとBから押された力でAは一瞬Bとは反対方向に弾かれてしまいます。
これはBから見た時にも同様の事が言えるのでAとBが勢いよく衝突するとお互いが押された力でぶつかっていく方向とは反対にそれぞれ弾かれる運動が発生します。
つまり、選手の動きに話を戻すと押し込もうと一生懸命ぶつかるほど逆方向に弾かれやすいということになります。
これを接触のタイミングで相手を押さずに受け止めるようにすると、ぶつかりに来た相手だけが弾かれて自分はどの方向にも動かないでいられます。
しかも相手の力を受け止める瞬間は接触に強いパワースタンスなどの姿勢をとれているので接触して相手が弾かれた瞬間にすぐに次の動作に移ることが可能です。
相手が弾かれた瞬間に弾かれた分だけ距離を詰めることで有利な位置を陣取ることができ、それを繰り返すことで大きな力をかけずに相手を目的の場所まで押し込みやすいということですね。
育成世代を指導する時によくやるエクササイズでパワースタンスを取って横から押し合い相撲をやりますが、片方にはとにかく当たって押し込め、もう片方には受け止めて相手が弾かれたらその分だけ進め、という風に指示をだすと面白いように受け止める側が勝ちます。
受け止める動作は接触と反対の接地足で突っ張るようにすると楽に耐えられるので前後方向の接触ならスプリットステップでネガティブスポットに接地を取るのが物理的には効率的です。
右からぶつかってくるなら左足、左からぶつかってくるなら右足という具合でぶつかるようにする形ですね。
ポジション問わずコンタクトで有効な概念
ポストアップの場面は身体の大きい選手だけでなくガードの選手がポインティングする際などにも見られるので自分に有利な場所とるための押し込む(押し込まない)スキルは身につけておいて損はないかと思います。
そして、このことを体感的に理解した選手同士がポストアップすると動きがかなり拮抗して駆け引きが難しくなってきます。
↓のBookerのショットメイクの場面なんかは典型的です。
接触にルール上の制限があるうえ、体格が拮抗しやすいバスケではこの事を理解しているだけでOFでもDFでも接触で押し負けない、疲労しないパフォーマンスの実現がしやすくなるので是非理解いただければと思います。
そして、冒頭でもチラッとお話した通り体格差やパワー差が圧倒的にあるとこの原理は通用しなくなるのでご注意ください。
体重差10㎏、身長差10cm程度は全く問題になりませんが体重差20㎏以上、身長差20cm以上はモーメントの関係もあってかなり厳しい差になることは併せてご理解ください。
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