[#14]【バッシュ解説】反発力と衝撃吸収性の関係

EN-TRAINトレーナーのぱらとです。

この記事ではTwitterでの発信を深掘りしていくことで物理的な本質からパフォーマンスアップを図るお手伝いをしていきます。

取り上げるツイートはバッシュの反発力について解説したコチラ。

バッシュにおける反発力とは

バッシュの反発力とはかけた荷重の大きさに対してどれくらいの割合で力を返してくれるかという性能の指標です。

物理的な理想値は100%ですが現実世界においては音エネルギーや熱エネルギーに変換されるなどして100%の弾性率(反発力)は実現できません。

0%に近づくほど力を返さないので反発力が低いという表現ではなく衝撃吸収力が高いという表現に変わっていきます。

具体的にどれくらいの割合で力を返すと高反発または高衝撃吸収であるかという定義はありませんが、タイカ社のつくるα-GELは荷重に対して10%未満の力しか返しません。

α-GELといえばASICSの衝撃吸収材として使われているゲル材料として有名ですが10の力をかけると1未満の力しか返してくれない=衝撃吸収性がとても高いと言えるわけですね。

逆に言えば反発を全然返してくれないとも言えます。

10%未満だと高所から卵を落としても割れないぐらいの性能を発揮することができます。

衝撃吸収性が高すぎると

衝撃吸収力が高いほど力が返ってこないということは身体への衝撃によるダメージを緩和することができる一方で、次に動き出すための力も殺しているということになります。

バスケでは着地の衝撃を次の動きのエネルギー源として利用する動きが頻繁に必要になるスポーツですが、荷重の度に力を吸収されると「荷重→力が減衰→再度荷重→次の動き」という流れとなって動き出しのテンポが遅れていわゆる「居着き」の動きになります。

居着く動作は動きのキレが出ないだけでなく筋疲労しやすく場合によっては怪我に繋がる動きでもあるので注意が必要です。

これを避けるには自分の動きに合わせた衝撃吸収力であるか、つまり最適な反発力を持ったソール性能であるかどうかをしっかり判断していく必要があります。

反発性が高すぎると

一般的にバッシュの反発力はミッドソールの密度が高く厚みが薄いほど高くなります。

しかし、ミッドソール厚が薄いと荷重に対して底着き(ミッドソールが圧縮しきってしまう)が起きて期待していた反発力ではなく単純な衝撃が身体に伝わってしまうことが増えてしまいます。

衝撃として伝わる力は力の伝達速度が早すぎて次の動作のエネルギー源として利用できません。

自分の身体を動かすエネルギー源として利用するにはある程度力が返ってくるまでにラグがあった方が反発力として最大限活かすことができます。

イメージとしてはまさにバネのように縮んで伸びる間のラグが身体の動作にも必要なのでミッドソール側でもそれに対応したラグが必要になるというわけです。

そのため、バスケに限らずスポーツ動作において反発力の高いソールセッティングとする場合はミッドソールの密度が高くある程度厚みが必要になるというわけです。

厚みがあることで身体側の動作の荷重して再度地面を押すまでのラグの間にミッドソールが適切に圧縮→反発という現象を起こして動くための力として働いてくれます。

反発力が高いか低いかは着用者によって変わる

荷重から次の動き出しまでラグは個人差があるうえ体格によって荷重の大きさが全く異なります。

そのため、同じモデルを履いていても選手によって感じる反発力も変わってくるというわけです。

例えば、体重の軽い70kg以下の選手が極厚かつ高密度のソールユニットを持つNIKE ZOOM BB NXTを履いても大きな反発力が得られず固く動きにくいと感じ場合がありますが、体重が90㎏以上ある選手にとっては適度に沈み適度に反発するので動きやすいと感じることが増えてきたりします。

自分の現在の状態に最適なソールユニットを持つバッシュを見つけることができれば最大限のパフォーマンスを発揮することができる可能性は高まります。

逆に合わないバッシュを履けば怪我に繋がる可能性もあるので、バッシュ選びにおいてはサイジングと合わせて重要な指標になる事は間違いないでしょう。

また、怪我の関係で関節に古傷があるから衝撃吸収力の高いバッシュにしたい、という方もいると思いますがこれも安易に判断するのは危険です。

衝撃吸収力が高いと荷重に対する衝撃は緩和されますが自身の動きに合っておらず余計に関節に負担をかける動きになる可能性もあるからです。

基本的に怪我をするのは道具のせいではなく自分の動きに原因があることがほとんどなので相違った根本的な部分から見直していくとより適切なバッシュ選びにも繋がるので是非今回の内容を参考にしてみてください。

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