[#24]【バッシュ解説】荷重の大きさの違いによるグリップ力の違い

EN-TRAINトレーナーのぱらとです。

この記事ではTwitterでの発信を深掘りしていくことで物理的な本質からパフォーマンスアップを図るお手伝いをしていきます。

取り上げるツイートは子供達の動きから荷重の違いによるバッシュのグリップ力の違いを解説したコチラ。

グリップ力はバッシュ選びにおいて重要な評価項目

バッシュの機能の高さを示すのに重要な要素の1つであるグリップ力。バッシュ選びで気にすることが多い部分だと思います。

滑るよりは止まる方がよいと感じる人は多いのでグリップ力の高いモデルは他の性能がイマイチでも人気が出ることもよくみかける現象と感じます。

そのため、私を含めバッシュのレビューを行う方達のレビュー項目に例外なくグリップに関する内容が盛り込まれています。

そうしたレビュアーのコメントを参考にグリップの良し悪しを判断して購入に至る方も多いのも事実です。

しかし、実際に着用して感じるグリップ力は人によってバラつきが生じます。

グリップ力に差が出る一番の要因は荷重の大きさの違いです。

バッシュが接地して止まるのは摩擦という現象によって引き起こされます。

摩擦というのは動摩擦と静摩擦、2つの種類がありますが、バッシュが止まる際は動摩擦→静摩擦という過程を踏んで止まることになります。

2種類の摩擦現象が順番に起きていますが、どちらの摩擦力も垂直方向の荷重の大きさが摩擦力の違いを生みます。

摩擦力というのは摩擦する物体が持つ摩擦係数と垂直方向の力の大きさの積(掛け算)によって求めることができます。

摩擦係数は物質によって固定された値なので荷重の大きさが変われば摩擦力も変化するというわけです。

垂直方向の荷重の大きさは着用者の体重、ステップの仕方、重心移動の仕方によって大きく変動する部分です。

そのため、同じモデルを着用していても着用者によってグリップ力に対する満足度が変わる現象が起きます。

レビューでは滑ると言われていたモデルを履いてみたら十分グリップしてくれたと感じることがあるのはそうした理由から来ています。

体格の大きな選手よりも小さな選手の方がグリップ力を気に掛ける傾向にあるのは同じステップを踏んだ時に荷重の大きさが不足しやすくスリップする可能性が高まる事も要因にあります。

特に重心移動を活用して動く場合は接地面積が小さくなり摩擦力を稼ぎにくくなります。

荷重の大きさと接地面積の大きさの関係がグリップ力を決める

力学的には荷重の大きさは同じ力がかかる前提で接地面積が小さいほど高まりますが、身体の動きの関係上接地面積が小さくなる動きは垂直方向の荷重が小さくなりやすい(同時に水平方向の荷重が大きくなりやすい)のでスリップを誘発しやすくなります。

そうした理由からアグレッシブな動きをする選手ほどグリップ力の高いモデルを選ぶ傾向に進むというのは必然の流れとも言えます。

顕著な例としてはAir Jordan31はスリップしやすいと評価を出す方と良くグリップすると評価する方が入り混じったモデルと認識していますが、それぞれの評価を出す方の動きを見てみると荷重の仕方が大きく違うことが分かりました。

具体的にはエッジを強調して使用するタイプとしないタイプで評価が分かれていました。

ラバーの質やアウトソールパターンによってモデル固有のグリップ力は決まってきます。

しかし、荷重の掛け方(大きさ)によっても摩擦力が大きく変化してグリップ力にも影響があることが分かる良い例だったと個人的には思っています。

ここで引用したTweetの話を引っ張ってきますが、体重という点で子供と大人では大きく違うのは自明であり、荷重の仕方もソフトかつ速度も遅い。

となると育成世代に求められるグリップ力は必然的に高くなり、成長に従って、スキルの成熟に従って低くなっていくことが自然な成長に合わせたバッシュ選びにも繋がります。

そのことを理解しないまま高いグリップ力を持ったバッシュに乗ることに慣れきった動きをしたままにしてしまうと高いパフォーマンスを発揮する動きが難しくなります。

成長に合わせるという点でバッシュのグリップ力がプレイヤーとしての進歩にも影響与える要因であると、個人的には考えています。

また、忘れてはいけないのが摩擦力というのは摩擦する物体同士の間で発生する力なので、床側の影響も大きく受けます。

どのような床の状態がグリップしやすいかは経験的に理解していると思いますが、床の状態の違いもレビュアーが言っているグリップ力と情報の齟齬が生まれる原因になるというわけです。

これらの齟齬を少しでも埋めるため、個人の着用感によらないグリップ性能の評価として私のバッシュレビューではアウトソールのラバーの質をグリップ力の性能に影響のある硬度・粘度・粘着性の要素からレビューしています。

それぞれの要素がどのようにグリップ力に影響があるかはYouTubeで解説していますので参照いただければと思います。

この要素以外にもアウトソールパターンの影響やミッドソールの剛性の影響もあるのでバッシュのグリップ力を判断するのは実は難しい事であり他の方に感覚を共有するのも同様に難しいということを理解いただければと思います。

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