[#27]【ジャンプ動作】片足踏切で高く跳ぶのに必要なエネルギーの作り方
EN-TRAINトレーナーのぱらとです。
この記事ではTwitterでの発信を深掘りしていくことで物理的な本質からパフォーマンスアップを図るお手伝いをしていきます。
取り上げるツイートはCole Anthonyのフルコートランからのダンクの動きを解説したコチラ。
高く跳びやすい方法は個人差がある
バスケをプレイする上で高く跳べるとうのはメリットしかなく、ジャンプ力は低いより高い方が圧倒的に有利であることは経験的に理解があると思います。
ただ、プレイスタイルや身体操作の癖によって高びやすい方法は様々です。
よくわからないままジャンプ力向上を目指しても試合でのパフォーマンスに直結しないこともあります。
自分の得意な跳び方を見つけて自分のスキルセットに活かしたり、弱点になりそうな跳び方を改善したりすることは直接的なパフォーマンスアップに繋がる事だと私は考えています。
そんな中で今回取り上げたCole Anthonyの長い助走からのダンクは片足踏切で跳ぶのが苦手・高さが中々でないという方には参考になるハイライトだと思います。
ジャンプで高く跳ぶということを考えた時に踏み切りの仕方によってどこから高く跳ぶためのエネルギーを得るかというのをキチンと理解しておく必要があります。
今回取り上げたジャンプは片足踏切によるジャンプなので跳ぶためのエネルギーは前方方向の推進力(水平方向のエネルギー)から持ってくるのが力学的な効率が良いジャンプと言えます。
片足踏切の場合、水平方向のエネルギーの向きを垂直方向にバツンと切り替える両足踏切と違いエネルギーの方向としては水平方向が強調されます。
水平方向に出ているエネルギーの角度を斜め上に引き上げるようにして跳びあがると片足踏切では高さを出しやすくなります。
つまり、原理的には上に跳びあがるというよりも斜め上に飛び出すというイメージで跳ぶのが理想的な跳び方に近づきます。
もちろん単純に前方方向に勢いよく飛び出すだけでは高さは出しにくいです。
水平方向の力を斜め上(45°~60°)に引き上げるために身体のコアを上手くつかって身体全体を操作する必要があります。
実際の身体操作の難易度はありますが、意識として真上よりも斜め上の感覚が持てると跳躍動作に無理がなくなり怪我もしにくくなります。
ジャンプのイメージとして前方方向への意識が強まるのが片足踏切のジャンプなので高く跳ぶようになるほど水平方向に跳んで移動する距離も長くなります。
引用動画のCole Anthonyのジャンプの場合はフリースローサークルの下端あたりで踏み切ってエンドラインで着地しています。
ダンクの衝撃で水平方向の勢いを失ってしまったのでこの位置での着地となりましたが仮にダンクせずそのまま跳び続けたらゴールベースの裏まで楽に届いていたジャンプでした。
計算上はダンクをするために3m30cm程度の高さまで跳びあがりながら水平方向にも8m程度跳んでいることが分かります。
走り幅跳びで8m以上跳ぶことは陸上競技のオリンピック標準記録をクリアするというレベルです。
バスケットボールの神ことMichael Jordanがレーンアップダンクをした際は水平方向にも9m近く跳んでいる(世界記録に匹敵)と言われましたが計算上妥当な距離であることは間違いありません。
レギュレーションの違いもあるのでNBA選手が走り幅跳びに挑戦したから金メダルを総攫いできるか?と言われればそうは問屋が卸さないとは思います。
そうした片足踏切ジャンプの原理を抑えるとCole Anthonyのコート全面を使った助走からのジャンプは十分な水平方向の加速をすることができているのでとても理に適ったジャンプであることが分かります。
実際、バイオメカニクス系の研究では片足踏切ジャンプの高さは助走速度(距離)に相関があるという結果が得られている報告もあるようです。
短い距離で最大速度を出すことができるのがより理想的な動きとなりますが、どうしても助走速度を上げるには長い助走が必要になります。
そのことを念頭において片足踏切で跳ぶ練習をすることができれば自然と高さ方向への還元も進み高さを出しやすくなる可能性は高いです。
ジャンプを高めるには原理を理解してとにかく全力で跳ぶ
私の指導経験上、高く跳ぶための細かい動作機構を指導するよりもまずは全力で加速して全力で跳ぶという感覚を身体に覚えさせることをした方が後々のジャンプ力向上もスムーズになる場合が多いと感じます。
自分で練習をする際は全力で跳ぶ、という練習時間を確保するのも大事だなというのが個人的な見解です。
全力で跳ぶようになれたうえで必要なのはフォームの改善なのか出力の改善なのか見ていくことで課題もハッキリしやすいです。
今回の深掘は片足踏切ジャンプに関する内容でしたが、ジャンプの機構に合わせて意識することややるべきことを調整するのはとても大事なことです。
ただ、その水準で改善を目指すには意識的にも身体の操作的にも全力がいつでも出せる状態を作っておくことも非常に大事になることは理解しておいてほしい点です。
そのうえでより高くジャンプするということを目指すために片足踏切、両足踏切に関わらず高く跳ぶ力学的要素についてはYouTubeでも解説しているので参考にしてみてください。
最後に余談ですがCole Anthonyは右利きなのに左手のダンクも得意な選手で踏切が左右どちらからでも同じぐらい高く跳ぶことができる珍しいタイプです。
今後の試合でもどんなダンクを見せてくれるか楽しみですね。
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