[#36]【接触動作】接触ありのストップ系動作でDFを振り切りやすい理由

EN-TRAINトレーナーのぱらとです。

この記事ではTwitterでの発信を深掘りしていくことで物理的な本質からパフォーマンスアップを図るお手伝いをしていきます。

取り上げるツイートは接触を共なうストップ系動作でDFと大きくスペースを作る動きを解説したコチラ。

シュートスペース作り=ズレ作り

どんな方法でフィニッシュするにしてもDFが自分のテンポに合わせて動けたり、密着したりした状態ではタフショットになってシュート確率が落ちやすいです。

そのため、様々なアプローチでDFとのズレを作ることでフィニッシュするのに必要なスペースを作り出すことが求められるのがバスケットボールという競技です。

もちろんチームスポーツなので合わせの動きやPnRのように味方を上手く使ってスペースやズレを作る選択肢はありますが、今回の内容はDFと正面から対峙して自分の力でズレを作るための内容です。

DFとのズレを作り出すのにDFが置いてけぼりになるような圧倒的アジリティや接触したら数mもDFが吹っ飛ぶような強靭なフィジカルを誰もが持っているわけではないのでDFとの駆け引きの中でズレを作り出す動きを身に着ける必要が出てきます。

ズレを作る動きはたくさんありますが、最も労力の少ないズレを作る方法はテンポズレ。

DFが重心を下げるタイミングでこちらは重心を上げたり、右に重心が乗るタイミングで左に行ったりするような動きをすることで少ないエネルギーでズレを作り出すことが可能です。

テンポズレについては別解説でまとめるとして、今回の内容はテンポズレではありません。

今回引用したSGAの動きは運動量保存則に従った、慣性ズレとも呼べる運動方向の差によるズレの作り出し方です。

運動量保存則というのは外から力がかからない限りその物体が持つ運動量は保存されるというものです。

運動量というのは物体が動く勢いを数値化したもので今回のように衝突する2物体の運動の変化を見ていくのに最適な物性値です。

似たような物性値としては運動エネルギーで今回の動きを見ていくと不適切になってしまいますが、物理学的な部分を詳しく解説すると長くなるので割愛します。

さて、肝心の運動量保存則がどのように関わってくるかについてですが、運動量というのは衝突などの現象によって増減することはなく衝突前後で完全に保存されます。

つまり、衝突後のそれぞれの運動の勢いは衝突直前のそれぞれの物体の動きによって決まってくるというわけです。

今回引用した動きではアンダードラッグでストップ動作をかけるタイミングでDFと左半身(肩~手)を触れます。

触れることで2物体が衝突するのと同じ現象(運動量保存則の発生)が起きています。

OFとDFそれぞれの身体が持つ運動量が作用反作用の法則によりお互いの身体に作用しあった結果、DFはリング方向に弾かれる動きになりOFは3Pの外側方向に弾かれる動きになります。

厳密にはリングに対して少し斜めに切り込んでいるのでDFはちょうど倒れ込んだ方向、OFはやや右サイドよりの後方にそれぞれ弾かれるように力が働きます。

この時、単純に接触すると前述の力がかかっても身体はさらなる力(外力)を発揮できるのでそのままお互い更に身体を密着させるようにして動き続けることは可能です。

しかし、今回はOFのSGAはストップ動作をかけているので本来ならやや後方に弾かれるはずの動きをストップ動作でその場に固定するように力を発揮しました。

するとSGAが3P側(後方)に弾かれるはずだった運動量は接触していたDFに受け渡す形になるのでDFは自分が後方に弾かれる運動量とOFが後方に弾かれる運動量の両方を受ける形になり吹き飛んで行ったということになります。

接触の力を利用することでDFが勝手に離れていくシチュエーションを作れる

人の身体の動きの場合、理想的な物理的動きとは限らないので運動量保存則で保存される運動量にストップ動作という外力が加わる複雑な運動様式となっています。

それでも前後の動きの変化から物理的にどのような力がかかっているかを分析することは十分可能で、今回の場合はOFは接触の瞬間に弾かれる運動量をストップ動作で相殺するように力をかけたことでDFは弾かれる方向に単純な接触でかかる力以上に大きな力を受けたということですね。

OFのSGAが適切なストップ動作をかけたことでSGAはストップしやすく、DFはより吹き飛びやすい方向に動いたということになります。

バスケでは何故この動きを選択したか?という判断力だけでなく、何故このムーブではこのような動きになるのか?という現象の理解も深めることでより高次元なパフォーマンス発揮ができるものと考えいるので文章だけでは難解だとは思いますが、当ブログの解説を通して理解を深めて練習に取り組んでいただければと思います。

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