[#4]なぜ美味しい(太る)ものは脂肪と糖でできているのか?
EN-TRAINトレーナーのぱらとです。
「おいしいものは、脂肪と糖でできている」(日本コカ・コーラ)のキャッチフレーズ、一度は聞いたことがあると思います。
このキャッチフレーズを見て「あぁ、脂質と糖質(油と炭水化物)を同時に摂取すると太りやすいんだな」と思いましたよね?
実際、CMに出ているような脂質と糖質をたくさん含んだ食事(ラーメン、パスタ、とんかつ弁当 etc.)を続けていると太るというのは経験的に理解されているはずです。
そのため、余分な脂肪を付けたくない場合は健康食品に頼ったり、脂質や糖質を抑えた食事をするように管理したり、運動をするなどして調整すると思います。
でも、ここで少し考えてみてほしいことがあります。
人間の身体にとって重要な3大栄養素に指定されている脂質と糖質を同時に摂るとなぜ太りやすくなるのか不思議ではありませんか?
様々な栄養素がある中で特に重要な3つの栄養素のうちの2つが合わさったとして1日の総摂取カロリー量が多すぎなければそう簡単に太ることはないのでは?とカロリー管理について勉強し始めた方は思うかもしれません。
実際のところ、脂肪と糖を同時に摂取=即太るというわけではありません。
しかし、身体の状態によって太りやすくなる場合があります。
どうして太りやすくなるのかを理解しないままボディメイクしようとしても効率的に進めることができません。
太りやすくなる身体の働きを理解したうえで正しく脂肪と糖を摂取できるようにしておきたいところです。
なぜ脂肪と糖で太るのか?
大前提として脂質にしろ糖質にしろ身体が求めている以上のカロリーを摂取すれば余分なエネルギーとして身体は認識します。
余分と認識されたエネルギーは最終的には脂肪細胞に送られ脂肪細胞肥大化を引き起こします。
これが日常化するといわゆる肥満体型(デブ)になってしまうわけですが、脂肪と糖を同時に摂取すると身体のある働きにより脂肪細胞にエネルギーが直行してしまうことがあります。
その働きがインスリンの分泌です。
糖質を摂取して血糖値が急激に上がると身体は血糖値を正常な値に戻すためインスリンをたくさん分泌します。
インスリンの働きは血中の栄養素を筋肉・肝臓・脂肪に運ぶことです。
インスリンがたくさん分泌されるほど活発に栄養素は運ばれるので血糖値が急騰する高GI値の食品と一緒に脂質の多い食品を食べると大量のカロリー(エネルギー)が積極的に脂肪に運ばれてしまいます。
結果、太りやすい身体の状態をキープすることになります。
つまり、インスリンの分泌が活発になる糖質の摂取と単位質量あたりのカロリーが高い脂質を同時に摂取するということは脂肪細胞を大きくする働きを最大化してしまうわけです。
これが、脂肪と糖を同時に摂取すると太りやすい仕組みです。
インスリンは不要?
ではインスリンは太りやすくなる働きを促進するので分泌を減らすようにしたほうがいいのか?
実は中々そうもいかないのが身体のよくできたところです。
インスリンの働きの1つに筋肉への栄養素運搬が含まれるので、この働きを利用してトレーニング時に十分な栄養を筋肉に補給するためあえて糖質を摂取してインスリンを分泌させることもあります。
栄養を筋細胞にしっかり補給することでエネルギー切れによる筋分解を防ぎ筋肥大を促進する効果が期待できます。
そのため、スポーツ競技だけでなくボディメイクを頑張る人はインスリンの働きとうまく付き合っていくことが必要です。
何よりインスリンの分泌が上手くいかなければ血糖値を下げることができないので血管や臓器に大きな負担をかけてしまうことになります。
インスリンの分泌がうまくできず血糖値をコントロールできない状態が常態化すると所謂糖尿病として診断されてしまうのでインスリンというのは非常に重要なホルモンの1つであることを理解しておきましょう。
インスリンヒエラルキー
インスリンの働きは筋肉・肝臓・脂肪に栄養素が運ぶこと、そして、脂肪に栄養素が運ばれることで脂肪細胞が大きくなり太ってしまうことをここまで解説しました。
しかし、身体も簡単に太るのはよくないと理解しているようで実はインスリンによる栄養素の運搬には運ばれやすさ(優先順位)があります。
その順序とは筋肉>肝臓>脂肪の順番です。
つまり、インスリンは筋肉に優先して栄養素を運び、次に肝臓、最後に脂肪に運ぶように働きます。
この働きをインスリンヒエラルキーといって筋肉を優先して活動させそれでも余るエネルギーを脂肪にもっていくわけです。
しかも、この働きは筋肉量が多いほど、運動量が多いほどより強くなります。
筋肉量が多く、運動もしっかりしている人はインスリンヒエラルキーの働きによって血中の栄養素はどんどん筋肉に運ばれるというわけです。
そのため、同じ体重の方が同じ量の脂肪と糖を摂取した場合でも筋肉量や普段の運動量の差によって太りやすさが違う、ということになります。
ボディメイクでは消費カロリーを増やすために筋トレをする、とはよく言われますが痩せるためだけでなく脂肪を再びつけないようにするためにも運動と筋トレが大事!と伝えておきたいと思います。
インスリン感受性
筋肉量や運動量によってインスリンの働きによって運ばれる栄養素がより筋肉優先になることをインスリン感受性が高いと表します。
逆に筋肉量が少なかったり普段の運動量が少なかったりするため筋肉だけでなく脂肪にも栄養が運ばれやすい状態のことをインスリン感受性が低いと表します。
食事も美味しく食べながら太りたくない、という方はインスリン感受性を高めるため筋トレや継続的な運動が重要だということを改めて示しておきます。
筋肉量や運動量によってインスリン感受性に差がでますが、インスリン感受性が高い人でもインスリンの分泌量が高い状態が長く続くとインスリンの感受性は徐々に低下してしまいます。
つまり、一度に摂取する糖質量が普段から多かったり、高GI値の食品ばかり食べたりするとインスリン感受性は低くなってしまうので注意が必要というわけです。
インスリンを味方に効率的な身体作りを
インスリンの働きは今回の記事で紹介したような単純なものだけではないので一緒くたに解説するのは良くないですが、こんな一面を持っていることを理解して食事管理など進められると身体づくりの効率は大きく差が出ます。
そもそもオーバーカロリーな状態が続けばどんなバランスの栄養素でも脂肪細胞は大きくなり太ってしまいますが、糖質と脂質のそれぞれの働きによって太りやすい働きが促進されるというのは理解して管理したいところです。
インスリンヒエラルキーの働きによって生活習慣で太りにくい身体を作ることも可能であると理解いただければ幸いです。
こうした身体の働きをうまく活用することで脂肪と糖とうまく付き合っていけるようにしたいところですね。
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