[#50]【接触動作】veer stepが成功しない接触のされ方
EN-TRAINトレーナーのぱらとです。
この記事ではTwitterでの発信を深掘りしていくことで物理的な本質からパフォーマンスアップを図るお手伝いをしていきます。
取り上げるツイートはリムアタックで有効とされるveer stepが失敗に終わるような接触の仕方について解説したコチラ。
リム周りのムーブでは意味なくぶつかると逆に窮地に陥る
今回の内容はリムアタック時にDFを振り切れない接触の仕方についてです。
上背のない選手がリムアタックをするときに最も警戒しなければならないのは上で叩かれてしまうショットブロックです。
これを避けるためにシュートを打ち切るのに必要なスペースを様々な方法で確保するわけですね。
スペース確保の仕方は様々あり、物理的に距離を離す、縦方向または横方向のズレを作る、テンポのズレを作る、運動量のベクトルを相反させる(距離を離す、方向ズレを作るに繋がる)といったところが主なスペースの作り方だと思います。
この中で最近のNBAにおいて最も多用されていると言えるのが運動量のベクトルを相反させる方法です。
運動量というのは物体が動く"勢い"を表したもので物体が持つエネルギーの大きさとその方向によって決定されます。
どんなに大きなエネルギーを持つ物体でも動く方向が目的の方向と違っていれば思ったように動くことはできません。
veer stepもそうした運動量のベクトルを相反させるためのムーブの1つです。
運動する物体同士が接触すると運動量が交換されるのでそれに伴いOFがウィークサイドに弾かれ、DFはストロングサイド(リム下)に弾かれます。
その結果、DFはコンテストするためのOF方向の運動量を失うのでブロックされないというのがこのムーブの原理であり肝です。
接触の効果が得られない接触の仕方
しかし、接触によって運動量が交換されない場合があります。
それはどういう状況かというと接触するどちらか一方がぶつかり合うのではなく接触の力を受けるようにすると力を受けた側の運動量は力を与えた側と純粋に交換されないので運動量の方向が相反しません。
引用ツイートのJoshua RichardsonのDFの仕方をよく見ていただきたいですが、ペネトレイトでズレを作られた後、エルボー付近での最初の接触で相手をはじき返すというよりは押し込もうとした力を受け止めるように接触しています。
その結果、DFとOFの距離は一定の距離を保ったままでveer stepの肝である運動量の方向の相反が起きずブロックしやすい状況を作り出したと言えます。
もちろん力を受け止めた時にOFに吹き飛ばされてしまえば距離のギャップができてブロックは難しいですが接触の瞬間に力を受けるコンタクトスキルを使用したところでそれを防ぐことができています。
もしOFが過度に押し込もうとすればオフェンスファウルになるのでDF側の対応としてはベストと言える結果だったでしょう。
OF側の目線でお話すると、巷の指導では今回取り上げたveer stepをフィニッシュステップで接触しにいくことを目的としていて、接触の結果どのような運動連鎖が起きるのか?が説明されていないことが多いようです。
そのため、見よう見まねでveer stepのようなムーブを真似するとDFとの体格差や運動量のコントロールされ方によって逆にブロックされやすい状況を作ってしまうことがあります。
こういったスキルムーブ全般に当てはまることですがムーブをやると意図した結果(DFをかわしてシュートを沈める)が得られるわけではなく、意図した結果から必要なムーブを選択・判断していくことで求めた結果が得られます。
状況判断する力を磨いていくことが試合でのパフォーマンスを上げるうえでは最も重要です。
決め打ちムーブは手段の目的化となって状況対応力が落ちます。
DF側の対応が的確だったときにそれに対してのアクションが取れずTOを誘発したり自チームの流れが切れてしまったりするので常に判断することを意識しながら攻めていけると良いですね。
工学系の出身からすると過程から結論を導くのではなく結論から過程を導くというのが研究のセオリーなので過程から入りがちなスポーツの世界においては結果にもっとこだわった練習をすると良いのかなと常々感じています。
今回の深掘はピックアップしたムーブ以外にも当てはまる内容です。
是非参考に練習・指導してみてください。
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