[#51]【シュート動作】シュートリリースで手首は返す必要はない理由

EN-TRAINトレーナーのぱらとです。

この記事ではTwitterでの発信を深掘りしていくことで物理的な本質からパフォーマンスアップを図るお手伝いをしていきます。

取り上げるツイートはシュートリリースで手首を返す(スナップ)する必要はない理由について解説したコチラ。

指導依頼の多いシュート動作に関する改善

私の発信する情報の偏りの影響もあると思いますが、バスケに関する指導を行う中でシュートに関する相談は上位にくるぐらい気にしている方が多い要素だと思います。

シュートは入るにこしたことはないので確率を少しでも高めるための努力は競技レベルに関係なく続けておきたいところです。

ただ、シュート確率を高めるためにやることとして避けていただきたいのが「確率が高い(と言われる)シュートフォームを鵜呑みにする」ということ。

このフォームで打つとシュートを打つと確率が上がるよ!と言われてそれを習得するのは目先の成果としては確率が高まる可能性は高いです。

しかし、本質的にシュート確率を高めるには要素が足りないと言わざるを得ません。

どのような要素が足りないかというと「自分の身体の状態に合ったシュートフォームであるか?」というものです。

現代バスケでは様々なシュート理論が確立されており、いずれの理論も筋が通っていて人の身体の構造についてもよく考えられたものが多いです。

しかし、どんなシュート理論も合う人と合わない人がいます。

それは人の身体の特徴がそれだけ千差万別で画一的でないということを意味しています。

自分にはその理論が合っているのか?をしっかりと判断してシュートフォーム習得に取り組むことが効率的にシュート確率をあげるのには重要です。

シュート動作を効率的に改善するには力学的ポイントを抑えたい

力学目線でバスケを分解する立場としては理想を言えばその前提に「シュートが入る力学的原理を知る」というアクションを挟んでいただきたいところではあります。

前置きがかなり長くなってしまいましたが今回引用したツイートの内容はその前提条件として理解しておきたいシュートが入る力学的原理に関する内容です。

人の身体によってシュート理論に合う合わないは発生しますが力学的な原理の多くは画一的です。

今回引用した手首の返し(スナップ)はボールに大きな力を伝えて飛距離を出すためには特に重要な力学的ポイントと言えます。

手首の操作によってボールの飛距離が大きく変わりますが、シュート飛距離を出すにはボールに大量のエネルギーを伝えなくてはなりません。

基本的にボールを飛ばすエネルギー元は地面からの反力つまり下肢で下の方向に荷重する力から得るのが効率的です。

肩関節から先の力だけで飛ばすいわゆる手打ちのシュート動作は試合中のタフな状況では必要とされる場合もありますが、C&Sのようなシチュエーションでは避けておきたい動作になります。

下肢で地面を押すことによってシュート飛距離を最大化するお話は別の機会にしたいと思いますが、地面反力によって得られたエネルギーは身体の各部を通ってボールに伝わります。

その過程でエネルギーがロスするとボールが中々飛んでくれずシュート動作自体も安定しません。

特にボールに力が伝わる過程の最終局面にあたる手首の動作というのは力を伝えるという点で効率的な動作を習得しておかないと無駄な力ばかり使うことになってしまいます。

手首を返す動作というのは手首関節を軸にした回転運動として力を発生させます。

手首を意識的に返して力を発生させようとするとボールが飛ぶ方向は回転運動で発生する力とボールに発生する遠心力の関係によって決まります。

この力の関係は動きの中で大きくバラつくのでシュート動作としては安定しにくくなります。

一方でボールを押す動作で力を伝え続けるようにすると現象としては最終的に手首は返ることになりますが、回転する方向の力を伝えるわけではありません。

押し出す方向に移動していくボールに最後まで指を添わせて力を伝えきるという形になるため力の伝わり方としては直線方向の力が伝わります。

ボールを押し切ることで手首は自然と返っていく

引用した動画で見ていきましょう。

前半部分はシュートをリリースする方向を仮定した壁に向かってボールを押し続けることで力を伝えているので常に押し出したい方向(壁方向)に荷重されているためボールが落下しません。

壁からボールが離れないままでも押し続けると手首は最後に自然と伸びているので動作の結果として手首が返っています。

後半部分は腕が伸び切る直前に意図的に手首を返す操作をして力を伝えることで壁に向かっての力が失われて下方向に力がかかるためボールを抑え続けることができず落下してしまいます。

力の方向が壁(シュートリリース方向)からもずれてしまっているので力をロスしながらボールを飛ばすことになります。

力をロス無くボールに伝えるという点で手首を"返す"か手首が"返る"かの違いを伝えるのにこの動画の比較はとても分かりやすいのではと感じています。

前述した通り試合中の場面では手首の力を使ってリリースしなければいけないような場面もあります。

しかし、基本的なシュート機構を抑えるという意味では手首は返すのではなく手首が返るようにフォーム調整をしていくのが良いと身体の構造的にも力学的にも感じています。

是非参考にシュート練習取り組んでみましょう。

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