[#55]【接触動作】不安定ほど接触に強いと言える理由
EN-TRAINトレーナーのぱらとです。
この記事ではTwitterでの発信を深掘りしていくことで物理的な本質からパフォーマンスアップを図るお手伝いをしていきます。
取り上げるツイートはACL断裂後のリハビリ動作からわかるコンタクトがあるスポーツでの不安定の重要性について解説したコチラ。
接触の強さには2種類の要素がある
バスケのように接触しながらの動きがある競技では接触が強いに越したことはありません。
接触の強さを作るには大きく分けて2つの方法があって、基礎体力の向上による質量・筋力UPによるプレイヤーが持つ運動量の絶対値を増やす方法。
もう1つはコンタクトスキル向上による力学的な力の伝達効率UPによる今現在の身体の状態で最大限発揮できる運動量を確保する方法。
このうちコンタクトスキル向上による接触強さの向上は概念・理論を理解して実践することができれば即座に効果を発揮します。
プレイヤー自身のポテンシャルを最大限引き出すための手段がコンタクトスキルなので、実践動作が上手くできないプレイヤーへのテコ入れで目に見えて効果がでやすいです。
コンタクトスキルの概念を理解するのに最初に理解しておかなければならないのが"安定姿勢は接触に弱い"ということ。
安定は弱い、不安定は強い
安定姿勢とは所謂パワーポジションの姿勢を指します。
パワーポジションはウエイトトレーニングなどで筋出力を最大限発揮するために求められる姿勢として紹介されることもあって接触にも強いイメージを持つ人が多いと思います。
しかし、パワーポジションというのは外部の力がかかっていない自分1人の身体での安定を保つための姿勢です。
確かにちょっとした接触による外力に対しては強いですが、瞬間的に大きな力がかかるような接触や接触し続けながら段々力が強まっていくような力に対しては姿勢を維持できず崩れやすい姿勢です。
パワーポジションの姿勢はその場に居続けようとするためには優秀な姿勢であって安定姿勢として言えますが、バスケの試合中に起きるような接触に対してはその場に居続けることは困難です。
接触によってパワーポジションが崩れた瞬間に2歩3歩とよろめいてしまいます。
では、バスケにおける接触に強いとはどういう姿勢なのか?
それは接触という外力に対して如何様にでも対応することができる”不安定な姿勢"を保つことです。
不安定な姿勢というのは簡単な例でいえばパワーポジションの状態で片足を浮かした状態の姿勢です。
片足で立とうとすると当然浮かせた足の方に身体は倒れていきます。
そのまま倒れてしまわないようにするにはどこかのタイミングで浮かせた足を接地させる必要がありますがその瞬間にこれまで接地していた足を浮かせることで再び不安定な状態を作り出すことができます。
つまり、不安定な姿勢というのは絶えずバランスをとるために動き続けているフラフラしたような状態を指します。
不安定な姿勢は一定の姿勢を取ることができないような状態ですが、接触による外力がかかったときに素直にその力に対して重心が流れるので1歩踏み込むだけで接触でかかった力に対抗することができます。
ここで引用したツイートを見ていただきたいですが、トレーナーが接触する瞬間にエクササイズを受けるプレイヤーは片足立ちの状態です。
そして、接触によって受けた力で重心が流れるのに合わせて接地足を入れ替えたり足を踏み出すなどして接触の力を最初の動きで受け止めることができています。
接触によって身体の位置はズレていますが上体を含めた全体の姿勢としては一定の状態を保つことができていて動きの中では安定していると言えます。
体勢が崩れているわけではないので接触した直後や接触しながらでも継続して動くことが可能な状態をキープしているわけです。
これがバスケにおける接触に強い姿勢と言えるので不安定な姿勢であるほど接触には強いと言えるわけです。
もちろん、接触の瞬間に体幹部や末端の動きが許容値を超えて体勢を崩してしまえば不安定姿勢でも対応することはできません。
このような状態は不安定ではなく"不均衡な状態"と言うことができてプレイを続行できる姿勢ではありません。
不安定な姿勢というのはあくまで外力によって力がかかっても基本的な体感部の姿勢や末端部の状態がコントロールできる状態を表しているというわけです。
不安定な姿勢を保つには全身の筋肉をバランスよく鍛えることが求められるのでコンタクトスキルを最大限発揮するためにも日頃から基礎体力の向上に努めておきたいところです。
そうすることでコンタクトスキル向上による即効性のある接触強さ向上がより感じやすくなります。
是非、参考に練習してみてください。
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