[#6]効率的にトレーニング成果を上げるにはホメオスタシスを理解しておく
EN-TRAINトレーナーのぱらとです。
ダイエット(減量)にしろバルクアップ(増量)にしろ現在の身体を作り変えようととするときに頭に入れておきたい身体の働きがあります。
それがホメオスタシス(恒常性)です。
どのように身体を作り変えるのか、取り組み方や設定する目標は人によってバラバラですが現状から変化を伴うという点で共通しています。
身体を変化させるときにホメオスタシスを考慮しながら進めていかないと思ったように成果が出ず途中で挫折してしまうなんてことになりかねません。
もちろんうまく対応することで変化量を最大化することは可能です。
そこで今回はボディメイク時に考慮しておきたい身体の働き「ホメオスタシス」についてわかりやすくまとめていきたいと思います。
ホメオスタシスとは
ホメオスタシス(homeostasis):恒常性、一定の状態を保つ
恒常性という言葉は色々な場面で使われますが人の身体における恒常性とは外気温や気圧など外条件の変化に対して身体の状態を一定に保つ身体の働きを表しています。
ここでいう身体の状態とは体温や血圧、体液濃度、免疫機能など生体機能全般のことを指していて広義では体組成(筋量、脂肪量)の絶対量も含まれています。
生体機能を一定の状態に保つことで生物としての活動を安定化させる効果があります。
恒常性による活動安定化の例として恒温動物は体温を一定に保つ恒常性の効果で外気温によらず活動することができます。
しかし、体温の恒常性を持たない変温動物は気温が下がっていくと活動するための熱量を持つことができません。
そのため、活動を停止したり冬眠したりする必要があり外気温によって活動が制限されます。
恒常性は外条件という急性の変化に対しても働きますし身体の状態、今回でいうと体組成が変化するような慢性の変化でも働きます。
対応する変化が急なほどホメオスタシスの働きは強くなり、緩やかなほど弱くなります。
恐らくホメオスタシスの働きについては経験的に理解はできると思いますが、急に暑いところに行けば汗をかき体温を下げようとします。
3ヶ月かけて体脂肪率を3%下げると体脂肪が減ったことによる保温効果の低下に対して日常的に代謝を上げ対応を高めようとするのが1つの例です。
ホメオスタシスのフィードバック作用
恒常性の効果は一定に保つべき生体機能に変化が働いたときに発揮されます。
恒常性による一定に保つ効果というのはある状態から変化しないように作用する身体の働きと勘違いしがちですが実際には変化が起きた時に元の状態に戻そうとする身体の働きといった方が適切です。
変化に抗うのではなく変化を治めようとする働きと理解しておきましょう。
変化とは良い方向・悪い方向どちらも当てはまります。
つまり起きた変化を打ち消すように新たな変化を生むことで元の状態に戻ろうとします。
こうした作用をホメオスタシスのフィードバック作用と呼び打ち消すべき変化が収まるまで働き続ける作用です。
フィードバック作用がいつまで、どれくらい働くべきか決めているのは脳の自律神経の中枢である間脳視床下部です。
自律神経が整っていればフィードバック作用は適切に働くため恒常性はキチンと機能します。
逆に自律神経系の調子が悪い方はフィードバック作用の働きの強度を適切にコントロールできないため身体の内部環境を一定に保てず身体の調子が改善しにくくなります。
何か特別なことをしたわけじゃないのになんとなく調子が悪いという時に自律神経の乱れによる恒常性の機能不全が身体の状態を悪い状態でキープしてしまっているというのは良くあることです。
ホメオスタシスのボディメイクへの影響
ホメオスタシスによるボディメイクへの影響は時間軸が長くなるほど大きくなっていきます。
身体の状態変化が緩やかなほどホメオスタシスの働きは弱いと前述しましたが短期的変化は勢いが強い分、変化の打ち消しもすぐに終わるので身体への影響は小さくなります。
一方で緩やかな変化に対する変化の打ち消しは勢いが弱く長期的になるため影響としては大きくなります。
影響が長く尾を引く形になるので変化させるコト(減量/増量)をスパッとやめたとしても打ち消す方向の力はそう簡単には消えません。
そのため、ホメオスタシスの影響を抑えて身体の状態を安定させるには目標とする身体の状態になってもしばらく維持するための期間を設ける必要があります。
慣らし期間のようなものと考えてもらっても良いと思いますが機械のように単純に時間をかければ慣れていくというわけでもないので調整は難しいこともあります。
極端な例でいえば体脂肪率1桁台だったり、筋量がかなり多い状態というのは生物的に大きな変化を常に伴った状態なのでこの状態をなんの労力もなしにキープすることは難しいです。
ピーキーな身体の状態を維持するのは非常に大きな労力を必要としてするので安定させる、というのは難しく常に変化方向に向かって努力し続ける必要があります。
つまりに常にホメオスタシスに抗うような状態なので維持管理はとても大変です。
ホメオスタシスによるボディメイクへの影響は(身体が自然と感じる状態よりも)痩せていれば太ろうとし、太っていれば痩せようとするということです。
そもそも筋肉は身体への負荷(ストレス)に対する応答によって発達していくので負荷を与えることをやめれば自然と負荷のない状態を基準に身体の状態を整えようとしてくるというのはなんとなく理解できると思います。
ホメオスタシスを考慮して身体の状態を整える
ホメオスタシスについて理解をすると身体の好不調の波が存在することにも気付けます。
調子の良い状態があればそれは通常の状態よりもプラスに振られた状態なのでその調子をもとに戻そうとマイナス方向の力が働きます。
この好不調の波は人によって時間軸が異なるので長く好調が続いた後、長く不調が続く場合もあれば極端な話数時間おきに好不調が入れ替わるといったこともあります。
競技場面では試合の序盤と中盤と終盤で調子の波が入れ替わる選手がいたり、数日続く大会期間中好調を維持できる選手がいたりするわけです。
この波の周期は個人差があるので自分の現在の波の周期を理解しておくと不調時に無理にプレイして逆にミスを増やしたり怪我をしたりといったことを軽減することもできるかと思います。
プレイヤーのコンディショニングを専門に取り扱うトレーナーであればこうしたホメオスタシスを含めた身体の働き全体を把握しながら調整をしてくれるはずです。
ホメオスタシスを理解して効率的にコンディショニング
今回は身体の状態を一定に保つホメオスタシス(恒常性)の働きの目線からボディメイクへの影響やコンディショニングについてまとめました。
個人個人で波の大きさや速さは大きく異なるので一概にこうすれば良いという内容はありません。
断言できることといえば言えば自分に合ったペースを見つけることができれば巷の耳触りの良い情報に騙されず質の高いコンディショニングができるということです。
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